運動が健康に及ぼす科学的根拠
運動が健康に与える影響について、科学的な根拠に基づいた重要なポイントをまとめました。適度な運動習慣が、様々な面で健康増進に貢献することが示されています。
工藤クリニック 院長 医学博士 工藤太郎 監修
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
埼玉県整形外科医会 副会長
日本臨床整形外科学会 埼玉県支部長
日本整形外科学会 ニュース編集委員
東日本整形災害外科学会 評議員
大宮医師会 学術委員
運動の主な健康効果

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死亡リスクの低減
有酸素運動習慣のある人は総死亡リスクが10~30%程度低下し、筋力トレーニングも死亡リスクの低下に関連があります。

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心血管疾患リスクの低減
定期的な身体活動は心血管疾患リスクを15~30%前後低減し、血管内皮機能や心肺機能の向上に寄与します。

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がんリスクの低減
身体活動量が高い人は、大腸がんや乳がんを中心に、いくつかのがんの罹患リスクが10~20%程度低下する可能性があります。

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2型糖尿病の予防
週150分程度の中強度の有酸素運動や週2~3回の筋力トレーニングで、糖尿病発症リスクが約30~50%低減すると報告されています。
運動の追加的な健康効果

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体重管理・肥満予防
有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせで、エネルギー消費が高まり、体重・体脂肪率の管理がより効果的になります。

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骨や筋肉の維持・向上
レジスタンストレーニングやウォーキングは、サルコペニアや骨粗鬆症の予防に有効です。

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メンタルヘルスの改善
運動は神経伝達物質のバランスを整え、うつ症状や不安障害の緩和に寄与する可能性があります。

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認知機能の維持・向上
適度な運動は脳の海馬を萎縮しにくくし、認知症リスクの低減にも関連があると考えられています。

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睡眠の改善
適度な運動習慣は睡眠の質を向上させ、疲労回復やストレス軽減が期待できます。
運動は「長時間座らずにこまめに体を動かすこと」とあわせて実施するのが望ましいです。適度な頻度と量で継続し、無理なく続けられる運動を見つけることが重要です。個人の体力レベルや既往症に応じて、専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023より